不動産広告・改正後表示規約でWebやSNSの注意点は?

2022年9月1日に大きくルール改正された、不動産・住宅の広告を規制する法律。こちらには広告内等の「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」および「表示規約施行規則」が含まれます。そこに定められた不動産や住宅に関する広告ルールが変更されました。「公取規約改正」とも称されています。

実際に適応する住宅・不動産の広告は、チラシやフライヤー、パンフレットなどの紙媒体だけではありません。これらはホームページやSNSなどデジタルメディアにもほぼ同様にルールが不動産広告等のルールが適用されます。

不動産広告ルール・表示規約について、ご相談もお気軽に

そこで今回は、表示規約の改正にともなうWebサイトやSNSでの不動産・住宅系広告や記事配信について。不動産広告制作の基礎知識や定義、注意点をお伝えします。不動産広告ルール・公正競争規約の遵守で企業リスクを回避し、正しい広告メリットを享受しましょう。

また、不動産広告・表示規約のルール変更でホームページやSNSの制作・変更などにお困りのみなさまへ。不動産広告に関するご相談も受付中です。記事後半にご案内していますので、ぜひご覧ください。

※「公正競争規約」は消費者庁及び公正取引委員会が認定承認した広告等に関するルールです。

不動産広告の規制ルールについて

今回の記事テーマに入る前に、不動産・住宅広告の規制ルールの概要をおさらいしましょう。

不動産・住宅の広告を規制する法律には「宅地建物取引業法(宅建業法)」と「景品表示法(景表法)」があります。※「景品表示法」や「景表法」は「不当景品類及び不当表示防止法」の略呼称です。

宅地建物取引業法の広告に関する規約・ルール概要
  • 広告開始時期の制限/宅建業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前に、工事に関して必要とされる建築基準法に基づいた開発許可や建築確認があった後でなければ、工事に係る宅地・建物の売買その他の業務に関する広告をしてはなりません(宅建業法33条)
  • 取引態様の明示義務/宅建業者が宅地(土地)・建物の売買(売却)・交換・貸借に関する広告を行う際、自らが契約の当事者となって売買・交換を成立させる(売主)、代理人として売買・交換・貸借を成立させる。または媒介(仲介)して売買・交換もしくは貸借を成立させるかの別(取引態様の別)を明示しなければなりません(宅建業法34条1項)
  • 誇大広告等の禁止/広告展開時は、宅地・建物の所在地、敷地規模、形質、現在もしくは将来の利用の制限、環境・交通(最寄り駅や施設からの距離表示や徒歩所要時間など)・道路その他の利便性、代金・借賃等の対価の額もしくは支払の方法、金額または交換差金に関する金銭貸借のあっせんについて、いちじるしく事実と相違する表示をしてはなりません。
特定用語の不動産広告内の使用基準・禁止用語について

中でも、不動産業界が景品表示法で自主的に定めた「公正競争規約」。これには、不動産広告内の表示基準や特定用語の使用基準など以下の専門的な各ルールがあります。自主規制の設定とは言え業界の常識に基づき作られています。下記の項目で概要をお伝えします。

○広告表示する際の意義(定義)を規定している用語の例
  • 新築……建築後1年未満で居住用に供されたことがないもの。
  • 新発売……新たに造成された宅地又は新築の住宅(未完成のものを含む)が対象。一般消費者に初めて購入申込みの勧誘を行うこと ※複数期に分割販売する場合は期ごとの勧誘、申込み受付期間を設ける場合は期間内における勧誘。
  • ダイニング・キッチン(DK)……台所と食堂の機能が1室に併存する間取りの部屋。さらに住宅の居室(寝室)数に応じて用途に従う必要な広さ(面積・平方メートル)・形状および機能設備を有するもの。
  • リビング・ダイニング・キッチン(LDK)……居間と台所と食堂の機能が1室内にある間取りの部屋。さらに、住宅の居室(寝室)数に応じて生活用途に従う必要な広さ(面積)・形状および機能設備を有するもの。
○合理的な根拠理由がないと広告使用できない特定用語一覧
  • 「完全」「完ぺき」「絶対」「万全」など。/欠けるところがない、または手落ちがないことを意味する用語
  • 「日本一」「日本初」「業界一」「超」「当社だけ」「他に類を見ない」「抜群」など。/他の不動産会社の所有物件内容などが優位に立つことを意味する用語
  • 「特選」「厳選」など。/一定の基準で著しく選別されたことを意味する用語
  • 「最高」「最高級」「極」「特級」など。/物件の形質や状態、その他の内容、または価格その他の取引条件について。最上級の存在を意味する用語
☆さらにこんな広告表現もご注意を
  • 「買得」「掘出」「土地値」「格安」「投売り」「破格」「特安」「激安」「バーゲンセール」「安値」など。/物件の価格または賃料について著しく安いという印象を与える用語
  • 「完売」など/著しく人気が高く、売れ行き状況がよいという印象を与える用語
不動産広告のコピーライティングにも配慮を!

不動産広告内で「優良で他の物件と比較して有利だと誤認させる」目的のコピーライト(キャッチコピー)や写真の使用も原則規制の範囲になります。そのほか、おとり広告の不当表示など厳しい規律がありますので表現にはご注意を。

また、これらはリフォーム物件や賃貸物件に適応されるものもあります。あらかじめ、リサーチしてご理解ください。

不動産Web広告も紙同様のルールが

まず、ホームページやSNSなどのデジタル広告は、スピーディーな修正や更新が可能です。そのため、つい広告規約・ルールについても気軽にとらえがちです。

「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」または「表示規約施行規則」について。こちらも基本的には広告以外のホームページやSNSなどのオンラインツールでも基本的に紙媒体と同じルールが適用されます。

違反すると宅建免許の取り消しや罰金などの重い罰則や処分を受ける可能性もあります。必ず事前に以上の広告内容等を調査してしっかりルールを把握しましょう。また、サイトリニューアルや新規構築の際は、サイトマップ構築時からの管理をすると安全です。

では、今回の規約改正内容とあわせて改めて規約違反などがないかをしっかりチェックしましょう。不動産広告が改正になった今がよい機会です!

2022年9月1日改正に関わる規約変更

<参考:「表示規約・同施行規則の主な改正点を解説したリーフレット」>

それでは、表示規約・同施行規則の主な改正で、WebやSNSなどデジタル広告に関わる主な事例をご紹介します。また、下記以外にも、WebやSNSなどのオンライン展開内容で改正される点があります。さらに詳しい内容は、不動産公正取引協議会連合会のホームページでご確認ください。

【要チェック!】強化された規定ルール

Web広告にも適応する規定ルールで改正後強化されたものがあります。

◎「交通の利便性・各種施設までの距離や所要時間について」

1) もっとも遠い区画(住戸)からの道路距離や所要時間の表示が必要に
販売戸数(区画数)が2以上の分譲物件では、最も近い棟の出入り口と最も遠い棟の出入り口からの徒歩所要時間等の表示が必要になります。

2) 電車・バスの所要時間について
「通勤ラッシュ時の所要時間を明示し、平常時の所要時間をその旨を明示して併記できる」と変更に。
◆表示例
・A駅からB駅まで45分(急行)
・C駅からD駅まで通勤特急で71分
※平常時は特急で55分

3) 乗換えが必要な電車・バス等の所要時間について
乗換えを要するときはその旨と乗換えに要する時間も含めて表示する。
◆表示例
・○○線A駅から△△線C駅まで30~35分
※上記所要時間にはB駅での乗換え・待ち時間(5~10分)が含まれています。
※日中平常時は23~28分(B駅での乗換え時間含みます)

この機会にユーザー目線向けに、停留所の場所などを改めて確認して良い情報に更新しましょう。

また、施設からの徒歩所要時間にも注意!

4) マンション・アパートからの徒歩所要時間
マンション・アパートからの徒歩所要時間や道路距離を計測する時は、その施設からもっとも近い建物の出入口を起点とする。
※また、建物内に複数の出入口がある場合、その施設から最も近い出入口が起点。加えて施設により異なる出入口を起点にする場合は、どの出入口から計測したか併記した方が望ましい。

5) 交通の利便について
徒歩所要時間は、物件から最寄駅等までの徒歩所要時間を明示すること(バス便の物件も同じ)に変更。
◆表示例
1.交通/A駅まで徒歩10分
2.交通/A駅までバス5分「○○」停まで徒歩2分
3.交通/A駅バス5分「○○」停徒歩2分

本広告を実施すべき媒体の変更

まずは、予告広告後の「本広告」を実施する媒体について。既存規定(予告広告と同一の媒体で実施する場合)に加えて、インターネット広告のみでも可能となりました。

《現行規定》

本広告は予告広告と同一媒体で行う
例)予告広告を新聞折込チラシで行った場合。本広告を同じ部数・同エリア以上の新聞折込チラシで実施しないといけない。

《新規定》

予告広告に「本広告はインターネットで行う旨」「インターネットサイト名(又はアドレス)」「掲載予定時期」を明示。そうすればインターネットのみでの本広告が認められて掲載可能になります。
(新・表示規約第9条・施行規則第5条)

◆表示例

※本広告は、当物件のホームページで行う予定です。
掲載予定時期/2022年10月中旬
ホームページアドレス/https://○○〜、または「ABCマンション」で検索

不動産Web広告ルール 注意ポイント

全体的に、更新や変更が手軽なオンラインツール。その結果、従来の紙媒体の広告に比べて規制やルール制限が少ないように感じてしまいます。そのため、規制違反をしているケースも多いようです。では次に、改正以前からお問合せやご相談が多かった内容をご紹介します。

SNS広告の展開で注意すべき点

もちろん、SNS広告もWeb広告に該当します。そのため、建築確認や開発許可がない物件は広告できません。また、必要な表示事項(物件概要)の記載義務もあります。ただし、SNS上で全ての必要な表示事項を表示できない場合は別です。同文内に物件詳細ページへのリンクを貼って当該ページに記載してあれば問題ありません。ただし、金額や日程部分の表記違いには十分気をつけましょう。

バナー広告やリスティング広告で掲載した後の変更

・新築分譲住宅の予告広告をホームページで「販売戸数未定」「予定価格帯2,000万円台〜3,000万円台」と表示
・ホームページのトップに大きく「2LDK 2,000万円台〜」とキャッチコピーに掲載

本広告時に最低価格の2,000万円台の住戸を販売しない場合
<キャッチコピーをはじめ、価格表示箇所は販売戸数内での最低価格に変更する>
※ホームページやSNSで表示していた場合も変更が必要

物件ホームページに「キャンセル待ち」の表記

・新築分譲マンションで現在全戸申込が入っている
・ローン特約等で契約が白紙解約となる場合を想定。物件ホームページに「完売御礼」と記載し「キャンセル待ち受付中」

OK。もちろん問題ありません!
キャンセル待ちを受付けることは禁止されていません。ただし、現在申込をしている人に対してもキャンセル待ちの案内をする旨を示す方が望ましいでしょう。

※「完売」は表示規約第18条第2項第6号で特定用語として規定されています。しかし、今回同様に全住戸販売済み(申込済み含む)であれば使用しても問題ありません。また、上記の記事で紹介した以外にも不動産・住宅系のホームページやSNSではさまざまな規約・規制があります。

不動産広告公正競争規約改正Web

【まとめ】不動産広告・公正競争規約ルールが改正される際はWeb広告の内容も十分に確認を。規約違反で罰則を受ける場合もあるので「知らなかった」では済まされません。媒体ごとにルールが異なる場合もあるのでご注意ください。

不動産広告の規制ルールについて
不動産Web広告にも紙媒体と同様のルールが
2022年9月1日の改正に関わる規約変更

本広告を実施すべき広告媒体の変更について
不動産Web広告ルール 注意ポイント

規約改正内容を熟知した不動産・住宅系の専門ブレインが対応!

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2022年9月1日改正の「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」または「表示規約施行規則」に関する専門講習・講座にも参加済み。規約改正の詳細を把握・熟知しているので安心してご相談ください。※弊社は、不動産公正取引協議会連合会の賛助会員です。

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景品表示法第31条に記載の「公正競争規約」の不動産広告に関する規定を熟知した専門の校正スタッフを複数名有します。さらに定期的に改正される規約の対応もしっかりと。たとえば、公正取引委員会主催の研修セミナーにも参加しています。法令や最新情報を知って習得している頼もしいブレインです。

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