工務店、ハウスメーカー、不動産会社など住宅系企業の皆さま。ブランディングでお悩みの方はいらっしゃいませんか?

本記事では、工務店のブランディングの成功事例として「集客減少で悩んでいた営業所の来場数が2日間で200組に!」をご紹介。筆者の実体験を交えて、集客に結びつく成功するブランディング手法を解説します。

本記事を読むことで、価格競争から脱却選ばれる工務店・ハウスメーカーとなるためのポイントや実践方法がわかります。

工務店のブランディングで大事なこととは?

数ある工務店・ハウスメーカーの中から自社を選んでもらう理由とは何でしょうか。そこで大事なのは「御社だけが持つ強みや価値、サービスなどのブランド力に魅力を感じてもらうこと」です。

この、「ブランド力に魅力を感じてもらう」ための取り組みこそがブランディング。お客様にとって自社の価値(企業の意味や約束)を広く認知してもらえるように。また、価格競争から脱却しお客さまから選ばれる工務店・ハウスメーカーとなるために。今一度ブランディングのポイントや実践方法について考えてみましょう。

以下で、実際の事例を用いてブランディングの流れを説明していきます。

商品ブランディングを工務店に提案した経緯

ハウスメーカーのお客様からの「電話」から始まったブランディング

担当プランナーだったハウスメーカーの営業所の責任者様から1本の相談電話が。「モデルハウスへの来場者が減少し続けていて下げ止まらない。競合の住宅企業に勝てる来場者数アップの企画を考えて欲しい」という内容でした。

そこでまずヒアリングを実施。その結果、新築建設中の企画住宅のモデルハウスがあるとの情報をキャッチしました。「営業所のあるエリアのご家庭は共働き率が高い。そのため、仕事を持つお母さんたちの家事が楽になることを目的とした工夫やお役立ち施工を盛り込んだ建築内容が特長」ということでした。

営業所エリアの家庭の特徴企画住宅の特徴
共働き率が高い仕事を持つお母さんたちの家事が楽になることを目的とした工夫やお役立ち施工を盛り込んだ建築内容

社内ブランディングチームを結成!

さらにエリアマーケティングの結果、実際に共働き世帯率が高い地域であることが判明。つまり、市場ニーズともマッチングして共感を得られることがわかりました。

そして、「この企画建築住宅をブランディングすれば成功する!」と確信。企業の経営理念〝お客様の幸せな暮らしを支援する住宅つくり”にも通じる内容でした。そこで、この企画建築住宅のモデルハウスへ集客するためにもブランディングをスタートすることを決めました。

それに伴い、住宅専門のディレクター・デザイナー・コピーライターで社員チームを結成。こうして、ブランディング提案およびマーケティング戦略の考案をスタートしました。このように、子育て世帯向け企画住宅の商品ブランディング・ブランド化に取り組んでいきました。

実践1|工務店ブランディングの商品の考察

ハウスメーカーの企画住宅の特徴の概要一覧として

  • 家事動線がスムーズな設計/台所とサニタリールームが直通など
  • 小さなお子さま対応の間取り/リビング学習スペース、玄関直通の手洗いスペースなど
  • たっぷりスペースで手が届く高さの収納
  • 干してそのまましまえるランドリールーム
  • 成長に合わせて2部屋に増やせる子ども部屋
  • 企画住宅なのでコストが抑えられる

このように、ママや家族の家事負担を減らして楽に楽しく暮らせる工夫が満載の素敵な企画住宅です。つまり共働き世帯ユーザーの悩みや日々の課題を解決し支援するお家です。

そして、その大きな魅力を効果的にアピールする戦略・手法は何か?こうして、ファンを増やすブランディングプランをチームでまとめていきました。

実践2|コンセプトとターゲットの設定

しかし、子育てに忙しいママや家族にうれしいおすすめの特徴が満載!にも関わらず、お客様への明確な発信戦略・手法は整理されていませんでした。そこで、まず私たちはこのハウスメーカーの企画住宅のブランディングに関するコンセプトを明確にしました。

  • ママが笑顔になる、ママが輝く、ママがうれしいお家
  • 働くママを応援するお家
  • 上手に家事の時間短縮ができる仕組みやアイデアが豊富
  • 女性の視点からポイントをアピール

さて、このブランドコンセプトに対応するターゲットはどのような人なのか。ターゲットについて考えていきました。

  • 小学校までのお子さまがいる20~30代のご夫婦
  • 奥様が仕事をもっている
  • 住宅つくりに関して、家族の健康や暮らしやすさを大切にしている
  • 注文住宅のクオリティで費用はおさえたい

このように、「メインターゲットは誰なのか?」を設定してブランディングを行うことになりました。

実践3|ネーミングと展開ツールを提案

また、この住宅案件はもともと本格的なブランディングを予定されていた訳ではありませんでした。そのため、企画住宅の商品ブランディングを行うことからスタートしました。

  • 子育て世帯に特化した住宅であることをターゲットに認知を高める施策にしぼりこむ。
  • 豪華すぎず暮らしやすい。他社の同じクラスと比較して購入しやすくコストパフォーマンスの良い商品。
  • ハウスメーカーの企画住宅のネーミング:「ママ」のワードを取り入れたやさしくおしゃれなネーミングを考案して決める。
  • ネーミング決定後にロゴデザイン。各種デザインイメージ(写真撮影イメージも含む)を統一する。
  • 発信コンテンツのメニュー策定:紙媒体、ホームページやSNS展開・動画などデジタルコンテンツなど。さらにブランディング構築の専門的な観点から、総合的なメニュー構成を考案する。
  • 初動展開ツール:ポスティングチラシ(モデルハウスのオープニングイベントの集客用)、リーフレット(女性スタッフが紹介するタイプのデザインで企画住宅の特徴や間取りを紹介)、モデルハウス棟に掲出案内するのぼり、タペストリー

必要最低限の広告予算で始動

また、初動最初の集客活動は大きな費用予算の計上はなしに。具体的にはテレビ・ラジオCM、Web広告をはじめとするデジタル系の広告なしで行いました。

そして、上記のような必要最低限の資料やツールの展開で開始。つまり、ブランディングする上で、ターゲットに即したロゴデザインやコピー、コストの訴求にすることを重視しました。その上で、従来慣れ親しまれているチラシでの訴求、既存のホームページでの訴求をスタート。ターゲットは20~30代の夫婦ということもあり、SNSでの訴求も行いました。

結果|ブランディングで2日で200組の集客

既存の企画住宅に商品ブランディングを行っただけで!

さて、当日です。大掛かりな予算をかけずにイベント集客を行っただけで、通常このハウスメーカーの営業所での1日数組の来場数が100組を集める驚異の実績結果となりました。

さらに、女性メンバーを採用してイベントやインスタグラムをはじめとしたSNSなどWebサイト展開にも注力。ホームページからの発信をはじめ、メディアミックスの販促を行ったことも成功実績の向上につながりました。

つまり、その要因は「商品ブランディング」の成せる結果に他なりません。その後も、このモデルハウスで開催するイベントには多くの来場者が訪れ、営業所の実績はドラスティックに伸長しました。このように、地域密着型でファンが増えていったのです。

このハウスメーカー企業を代表するような商品ブランドに成長

さらに、このハウスメーカーの全国の営業所からこの企画住宅を採用したいとの要望が相次ぎました。こうして、このブランドは企業を代表するような商品となり、普及しました。

自社内では着想が難しい商品の魅力も、プロの視点で工務店・ハウスメーカーのブランディングを行うと驚くべき好結果につなげることができるのです。また、企業の信頼性も大きく広がります。

加えて、ブランディングの成果が表れてからの施策も重要です。さらに、無料で参加可能なセミナー開催、従業員と顧客が情報共有できる会員システムなど。ターゲットが求めるものは何かを真摯に追求して、企画住宅を基軸とした事業計画のアイデア実施を継続しましょう。

まとめ|工務店のブランディング

工務店・ハウスメーカーのブランディング後の集客についても重要になってきます。せっかくブランディングし、集客・来場してもらっても「次回商談アポイントが取れない」「受注や成約、売上までつながらない」などのお悩みもでてきます。

来場されたお客様を大きく育てて顧客になっていただくために。Web(広告出稿、SEO・MEO対策、LP制作)から、SNSの運用から、動画から、そしてDMなどの紙媒体から。関連するさまざまな情報発信を駆使しながらアプローチし、リードナーチャリングしていきましょう。